牛肉の等級について
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レストランや焼肉店、贈り物などでよく見る牛肉の等級を表した[A5][B5]などのランク表記。これは(社)日本食肉格付協会によって格付けをされたもので[お肉の味]を評価しているものではない事をあなたはご存じでしたか?今回は等級について詳しくご紹介していきます。

等級が高いと美味しいは本当?

普段よく目にしているお肉だからこそ、大切な日のお祝いや贈り物、頑張った日のご褒美にちょっと奮発をして「A5」ランクのお肉を購入しようと考えている方も多いはず!?今回のコラムではおいしいお肉を選んでいただくための豆知識をご紹介していきます。

目次

●牛肉の格付規格の表示区分について簡単に解説
●歩留(ぶどまり)等級について
●肉質等級について
 ・脂肪交雑
 ・脂肪の色沢と質
 ・牛肉の締まりときめの細かさ(お肉が締まっていて、きめが細かいか)
●肉質等級についてまとめ

牛肉の格付規格の表示区分について簡単に解説

皆さんもご存じの通り、牛肉の等級はA5.A4.B5のように、「アルファべット+数字」の形で表記されます。
日本食肉格付協会が農林水産省から承認を受けた牛枝肉取引規格に基づいて、等級を決定しています。

歩留(ぶどまり)等級について

左側にあるアルファベットの部分は歩留(ぶどまり)等級と呼ばれ、これは枝肉(※1)から小分けをするときに無駄なく肉が取れる割合を表しています。実際の評価としてはAからCの3段階があり、Aが最高ランクで“たくさんの食用の牛肉が取れる、生産性の高い牛”とお考え下さい。

〚A等級〛

標準より良いもの: 基準値72%以上

〚B等級〛

標準のもの:基準値69%以上72%未満

〚C等級〛

標準より劣るもの:基準値69%未満

生産者は消費者が求めた量に応じて、しっかりと牛肉を提供しなければなりません。
そのため、商品として販売できる牛肉(部分肉)がたくさん取れるかどうかについては、牛のとても大切な要素です。
(※1)枝肉とは
牛1頭から皮や骨、内臓などを取り除いた状態のものを言います。これは形が木の枝のような形をしているために枝肉と呼ばれています。

肉質等級について

右側の数字の部分のことを〚肉質等級〛といいます。

これは4つの項目を総合的に評価したものになります。
・脂肪の色と質(脂身がきれいかどうか)
・脂肪交雑(サシの入り方)
・牛肉の締まりときめの細かさ(お肉が締まっていて、きめが細かいか)
・牛肉の色沢(お肉の色がきれいかどうか)

上記の4つを総合的に評価したランクのことを言います。
評価としては1から5の5段階評価があり、5が最高ランクです。

脂肪交雑

脂肪交雑(しぼうこうざつ)とは、具体的に脂肪(サシ・霜降り)の入り方を見て判断され、Beef Marbling Standard(ビーフ・マーブリング・スタンダード)と呼ばれ、略してB.M.Sとも呼ばれています。
評価としてはサシの少ないNo.1から最も多いNo.12までの12段階に分かれます。これは、ナンバーが大きいほどランクが高いとされています。

脂肪の色沢と質

脂肪の色沢と質はBeef Fat Standard(ビーフ・ファット・スタンダード)と呼ばれ、略してB.F.Sと言うもので、7段階にランク付けされます。

選定方法としては、
・脂肪の質:切開面の皮下脂肪・筋間脂肪・外面と内面の脂肪を目で見て確認
・脂肪の色味と光沢:切開面の皮下脂肪・切開脂肪を目で見て確認
この2つの方法で出した結果基に、等級が決定されます。
こちらは、B.M.Sと違ってナンバーの小さい方が高ランクと判断されます。

牛肉の締まりときめの細かさ

牛肉の締まりときめの細かさはロースの断面を目で見て1等級~5等級までの5段階で判断します。

〚5等級〛

締まり:かなり良い
きめの細かさ:かなり細かい

〚4等級〛

締まり:良い
きめの細かさ:やや細かい

〚3等級〛

締まり:標準
きめの細かさ:標準

〚2等級〛

締まり:標準に準ずる
きめの細かさ:標準に準ずる

〚1等級〛

締まり:劣る
きめの細かさ:きめが粗い

牛肉の色沢

肉質等級のところの色沢とは、牛肉の色と光沢を判断する基準のことを言います。
これはBeef Color Standard (ビーフ・カラー・スタンダード) と呼ばれ、略してB.C.Sとも呼ばれています。

判断基準としては、牛肉全体の色を目で見て判断します。
No.1からNo.7までのどの色が認められるか確認し、こちらは他の物の基準とは違い、中間(濃すぎず、浅すぎない色沢)、一般的には、鮮鮭色が評価の高いランクと言われています。

まとめ

上記のことから、肉質等級を見るときには下記の3点を注意しましょう

① 等級とは見た目の評価
② 味に関する評価項目ではない
③ 最も低い項目の等級が最終的な肉質等級になる
前章でお伝えさせていただいたように、肉質等級とは牛肉の見た目に関するものが多く、味を評価しているものではありません。つまり、A5やA4といった高ランクの肉でも味がおいしいかは食べてみないと分からないということです。
では、なぜ一般的にA5ランクのお肉がおいしいと認知されているのでしょうか?
これは霜降り肉を好む方が圧倒的に多いという点から考えた際に、A5ランクがおいしいと判断されるからです。
そのため、味と全くの無関係ということではなく、牛肉のおいしさが脂肪の質とも関わっているため、等級をおいしいお肉の判定基準と言っても過言ではないのでしょうか。